日本の現代思想

 仲正昌樹著の『日本の現代思想』を読んだ。ポストモダンとはなんだったのかというサブタイトルがついているのだが、戦後日本の思想の変遷を80年代のニューアカブームを中心に書いていた。つまり浅田彰柄谷行人を中心にということかな。マルクス主義からの脱皮というか橋渡しをした人に吉本隆明広松渉を上げていたのが新鮮という感じがした。僕は、90年代後半を大学で過ごしたので、正直なところマルクスとか現代思想ということには、あまり触れずに来た。社会学を専門とする学部に所属していたので、橋爪大三郎とか宮台真司等には接する機会はあったけど。

 

現代思想入門

 仲正昌樹、清家竜介、藤本一勇、北田暁大毛利嘉孝著の『現代思想入門』を読んだ。戦後の主な思想として、ドイツのフランクフルト学派、フランスのポスト構造主義、イギリス、アメリカのリベラリズムカルチュラル・スタディーズ&ポストコロニアリズムについて語られていた。なんとなく大まかに言えば、こんな感じなのかなあと認識できたし、よかった。単純化されていたとは思うが、それは仕方ない。

右翼と左翼

 浅羽通明氏の『右翼と左翼』を読んだ。フランス革命時に語源があるというのは知っていたが、改めて、そのことを再認識できてよかった。現代は、思想的対立が分かりにくく、単純に右、左に分けることができない。政治、経済、文化、外交軍事等、様々な視点があり、まさしく複雑だ。結局は、自由と平等をいかにバランスよく追求していくかにかかっている。

拒否できない日本

 『拒否できない日本』関岡英之著を読んだ。もっと早く読みたかったけど、ずるずるきてしまった。内容は、なかなか面白かった。明治から第二次大戦までは、ヨーロッパを影響を受けていた日本が、戦後は、もろにアメリカの影響を受けていることを感じた。日本の法体系は、独仏の流れを汲む制定法をベースにしてきたのに、だんだん、英米の判例法をベースにしつつあり、それを米が誘導しているとのだということである。日本の政治、経済、社会システムが、どんどん米にとって都合のいいように変更させられているということの例が、いろいろ出ていて、面白く読んだ。

アメリカのゆくえ、日本のゆくえ 司馬遼太郎との対話から

 霍見芳浩著の『アメリカのゆくえ、日本のゆくえ 司馬遼太郎との対話から』を読んだ。アメリカの建国からの歴史と現在の様子を大まかに、しかも詳しく説明しているような内容で面白かった。アメリカといっても、東部、中西部、南部、西部等地域ごとに、それぞれの特徴があり、まさしく一口では説明できないのだなと実感した。ただ、大本は、メイフラワー契約、独立宣言、合衆国憲法という三種の神器であり、民主政体と法秩序が根幹をなしているのだな、また、ユダヤキリスト教的な精神文化を基礎においているのだなと思った。それと比較するかたちで、日本の明治以降の歴史が上がられていて、分かりやすかった。